突飛な組み合わせ
3月23日に変わったニュースに接した。仕事柄、小生も注目せざるを得ない。米国の超大ソフトウェアメーカーの会長が原子炉開発に出資すると言う。それも日本の代表的な電機メーカーと連携するとのこと。
Traveling-Wave Reactor(TWR)が、開発を目指す原子炉の呼び名らしい。GLOBAL 2009という国際会議でアイデアが発表されていると言う。職場ですぐに資料が手に入りざっと目を通したところ・・・、
怪しい。
小生は学生時代「ポンス・フライシュマンの常温核融合」の騒ぎを経験した。実のところ、これに次ぐ怪しさである。
核分裂は(ほとんど)しない原子核で、中性子を吸収して核分裂する原子核「核分裂性物質」に変化するものがある。専門用語では「親物質」と呼ばれ、ウラン238やトリウムが代表的である。このことを踏まえて、TWRのアイデアを簡単に説明しよう。
親物質をぎっしり敷き詰めた片隅に、核分裂性物質を臨界になる程度放り込んでやり、そこで核分裂連鎖反応を起こしてやる。そこから出てきた中性子により周囲の親物質が核分裂性物質に変わる。最初に放り込まれた核分裂性物質が燃え尽きるころには、周囲に核分裂性物質が臨界になる程度に溜まってきており、そこに連鎖反応の場所が移る。そしてさらに周辺の親物質が核分裂性物質に変わる・・・。
このようにして、核分裂性物質が溜まることと、連鎖反応の場所が移ることの繰り返しが、空間的に移動していくというわけである。
定性的にはそうなるかもしれない。しかし、定量的に成り立つのか? 入手した資料では一応コンピューターシミュレーションをしたことになっている。しかし、それでも・・・、眉唾ものである。
万能細胞でどんな組織の細胞も再生できるという。ならば、器官も再生できるのではないか? ならば、万能細胞さえ確保しておけば、ガンになっても大丈夫。ごっそり摘出しても器官再生で生きながらえられる。
ふと思いついたアナロジーである。
職場でこのニュースに接した同僚の反応には2種類あった。1) 原子炉開発に投資するぐらいなら、自分ところのOSをもっと良くしろ、というもの。2) とりあえずリリースしておいて後でパッチを当てるやり方は原子炉ではダメよ、というもの。
いずれも、圧倒的な信頼性を要求される分野に、件の主が参画してきたことへの皮肉である。
しかし、世界の技術革新は、斬新なアイデアが切り開いてきた。その都度、旧主派はそのアイデアを笑ってきたものである。TWRが実現した暁には、小生の不明を笑って頂きたい。
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